平成27年5月22日
平成26年度 空気調和・衛生工学会近畿支部学術研究発表会奨励賞 講評
学術研究部門 8編
A-33 冬期における農業用ビニルハウスの効率的な暖房方式に関する研究(第1報)高床式砂ベッドの加温と保温効果の実験的検証
〇稲葉直美(大阪市立大学)鍋島美奈子(大阪市立大学)西岡真稔(大阪市立大学)
[審査評] 本論文は、高床式砂栽培農業のビニルハウスに適した暖房方式を考える前提として、ビニルハウス内の熱収支および水収支を明らかに、砂ベッドに温床線を設置することにより、作物の生育日数を早め、消費電力も有利であると結論付けている。新規性、工学応用性、アピール力も高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。
A-53 ふく射と運動の負荷が時間変化する場合の温冷感予測法の検討
〇樫原健太(大阪府立大学)鶴長一紀(大阪府立大学)河端隆志(関西大学)山本貴則(大阪府立産業技術総合研究所)木下進一(大阪府立大学)吉田篤正(大阪府立大学)
[審査評] 本論文は、ふく射量と代謝量が時間変化するときの温冷感因子を、被験者実験により特定し、それを説明変数とした重回帰分析により単独の生理予測モデルを提案し、それを線形結合にすることにより、非定常温冷感の予測が可能であると結論付けている。新規性、工学的応用性が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。
A-9 潜熱蓄熱材と除湿材を併用したデシカントシステムの熱・湿気特性に関する研究(その6)PCM併用時の充填槽における温湿度及び含水率変化
〇田中俊祐(大阪大学)桃井良尚(大阪大学)相良和伸(大阪大学)山中俊夫(大阪大学)甲谷寿史(大阪大学)
[審査評] 本論文は、デシカント空調に潜熱蓄熱材PCMを組み込むことにより除湿された空気の温度上昇抑制効果のために、シリカゲル、PCM、シリカゲルとPCM併用を充填槽に充填し通風実験を実施し、PCMの吸熱効果に充填槽を通過する熱量を低減できたと結論付けている。アピール力が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。
A-15 内モンゴルにおける大気質モデルの妥当性評価
〇菅澤想(大阪大学)児島達也(大阪大学)嶋寺光(大阪大学)近藤明(大阪大学)井上義雄(大阪大学)包海(内蒙古師範大学)
[審査評] 本論文は、中国内モンゴルを対象に気象モデルと大気質モデルを用いて、微小粒子状物質濃度の計算を実施し、気象場および微小粒子状物質濃度の再現性は良好であるが、タクラマカン砂漠やゴビ砂漠からの微小粒子状物質の再現性にはまだ課題があると結論付けている。アピール力が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。
A-19 H事務所省エネ技術の効果検証(その1)人数把握が可能な在室検知センサを用いた照明・空調制御の有効性の検証
〇太田涼平(立命館大学)近本智行(立命館大学)岡克己(大阪ガス)中嶋俊介(大阪ガス)李明香(立命館大学)
[審査評] 本論文は、人数把握が可能な在室検知センサにより、照明・空調制御を実施することにより、日中の照明電力量の削減が確認でき、在室人数の増減により室外機のガス消費量の削減が期待出来、室温変動を抑制が出来るため快適性の向上も見込めると結論付けている。アピール力が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。
A-27 真空集熱管を用いた建物透過日射熱負荷削減対策の検討―外皮の熱収支と太陽熱利用空調の効果試算―
〇横田友和(大阪市立大学)西岡真稔(大阪市立大学)鍋島美奈子(大阪市立大学)
[審査評] 本論文は、ダブルスキンで遮蔽された日射量を、リニアフレネルレンズを用いて集光し太陽熱利用空調に有効利用することを目的に、太陽高度の変化に対してリニアフレネルレンズの集光実験を実施し、垂直日射に比べて集光倍率が低くなると結論付けている。新規性が高く評価されたことから、奨励賞に値する論文と判定した。
A-60 無菌治療室を対象とした垂直および水平層流換気システムの換気性能評価
〇徳原盛孝(大阪市立大学)小林知広(大阪市立大学)梅宮典子(大阪市立大学)雉鼻一郎(日本医化器械製作所)飯田哲司(日本医化器械製作所)
[審査評] 本論文は、無菌治療室を対象に垂直及び水平層流換気システムの換気効率を推定するために、給気排気部に用いられるパンチングメタルの圧力損失の定式化を実施し、その効果を含むCFD解析から患者の居住域であるベッド付近の空気齢は小さくなると結論付けている。工学応用性が高く評価されたことから、奨励賞に値する論文と判定した。
A-66 水平換気システムを有する高層オフィスビルにおける実運用下での空気・熱環境の検証及び運用改善
〇五明遼平(立命館大学)近本智行(立命館大学)田中宏昌(日建設計)後藤悠(日建設計)藤田尚志(大林組)井守紀昭(大林組)原嶋寛(大林組)
[審査評] 本論文は、ビルのテナントを対象に、自然換気実施時の温熱環境を形跡した結果、適切な時期の自然換気の実施は快適な環境を維持でき、CO2濃度を低下させ、花粉の影響も少ない、また風下側で暑く感じる時はハイブリッド空調で快適性を維持できると結論付けている。アピール力が高く評価されたことから奨励賞に値する論文と判定した。